写真家「森 善之」取材文掲載
サンケイ新聞夕刊「創人たち」vol.4
〜夢を聞かせる男がいて、その夢に、うなずく女がいて〜

取材・文=村上美香
写真=須佐光浩


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サンケイ新聞夕刊コラム『創人たち』 4回目


夢を聞かせる男がいて、
その夢に、うなずく女がいて。


写真家 / 森 善之 (もり よしゆき)

いつかおまえに見せてあげよう。眠らない月も、翼のある花も・・・♪写真家・森善之さんに逢うと、私はいつもこの古い歌(中島みゆき『あどけない話』)を思い出す。終わらない夢の話をいつまでも語ってくれる男がいて、うなずく女がいる。今日は、どんな物語を聞かせてくれるのだろう。アマゾンで見た太陽の話?それとも熊野に群れをなすヤタガラスの話?胸をときめかせながら京都は宇治市にある森さんの家に向かった。小さな畑と、愛犬タンポポの小屋。ハーレーと釣道具をあれこれしまう納屋があって、見覚えのあるランクルと8×10の大型カメラが出番を待っている。玄関から森さんと奥様のサチコさんのお出迎え。ここが世界を旅する森さんの出発点。そして、いつもの終着点だ。「俺、アマゾンに行ってくるわ」・・・昨年4月、森さんは“旅学”という雑誌の取材でアマゾンへ向かった。「経験と記憶をはるかに越えてあふれだす」という黒い水の上、小さな舟に揺られながら約10日間の旅をした。マラリアに2回もかかるというオマケもついてきたけど、赤道直下の大きな太陽に出逢ってから、自分のなかで探り続けてきた“何か”が開けた。「写真は俺にとって、“太陽崇拝”。そして、写真を撮ることは“信仰”・・・そのことが今回の旅で見えてきた」と、まっすぐな目をして話してくれる。写真は、光と闇がつくる一枚の絵。太陽がなければ、光も闇も、この世も、人も、みんな見えないし、生まれることさえ出来ないわけで。森さんはその全てに感謝しながら、それこそ祈るようにシャッターを押している。「俺、もう一回、アマゾンに行く。そして、アンデスに登る。二度と帰ってこられへんかもしれんけど、あの風景の中に立って、まだ見たいものがあるから」・・・キッチンには、洗い物を片付けながら、そんな森さんの背中を幾度となく押してきただろう奥様、サチコさんの笑顔。この揺るぎない地べたがあるから、より高く飛べるのだし、遠くへ旅できるのだろう。そんな男でいてほしいし、そんな女でありたいと強く思う。(フリーライター 村上美香 188.j p)


プロフィール
1960年生まれ。京都在住。旅をしながら、さまざまな人間や風景と出逢い、その生き様、もしくは死に様を撮り続ける写真家。昨年四月、『旅学』という雑誌の取材で、アマゾンへ向かう。小さな舟にゆられた水辺のジャングル。迷宮の入り口のような10日間は、写真家として生きる彼に大きな衝撃と衝動を与えた。写真展は7月30日から8月9日まで、大阪市中央区南船場2‐3‐23 平和紙業株式会社ペーパーボイス(06−6262−0902)にて開催

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