画家「TESSHU」 取材文掲載
サンケイ新聞夕刊「創人たち」vol.13
〜父の鉄工所に、原点の色が落ちていた。〜

取材・文=村上美香
写真=須佐光浩


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サンケイ新聞夕刊コラム『創人たち』 13回目


父の鉄工所に、原点の色が落ちていた。

画家 / TESSHU

彼の描く、やさしい恋人たちが好きだった。彼の描く、折れそうな花や、泣き出しそうな夜空が好きだった。とりわけ、ブルーの細いラインで描かれた猫が好きだった。私は月に1度、彼の絵に言葉をあわせてポストカードを創っている。もう2年ぐらい経つだろうか、それはとても神聖な作業で、TESSHU氏の画家としての変化や進化をかなり間近で見てきたように思う。だから、まず、今年の始めに送られてきた年賀状の今までの彼とはまったくテイストの違う(しかし、とてつもなく勢いのある)馬の絵に驚いたし、FM802のストリートアートオーディション#7への入選も、その入選作品にも驚いた。それから、久しぶりに逢って、やたらと男臭くなった無精髭の彼の顔を見て、ゾクゾクした。迷っていた何かがふっきれて、探していた何かが見えてきて、もうそこに走り出したくて仕方ないというような爆発寸前の創人の眼。いい眼だ。「今は・・・運動神経で絵を描きたいんです。たとえば鍛え抜いたスポーツ選手が見せる、ほんの一瞬の“神業”みたいな絵が描けるようになるのが理想。生きていくうえで僕が出逢ういろんな感情を、脳を通さずにキャンバスにぶつける感じで・・・」。TESSHU氏は年に数回の個展を開くために、ときどき、父が残した鉄工所を手伝う。大人になってしばらく離れていた場所。思い返せばそこは小さい頃の遊び場だった。エメラルドグリーンに塗られた巨大なプレスマシーン、近づいてはいけないと言わるからこそ、余計に神秘的に思えた歯車を塗りつぶすオレンジ。鉄クズ、あちらこちらの引っ掻きキズ。「最近、気付いたんです。自分の絵のなかに登場するエメラルドグリーンやオレンジが、実は、鉄工所の幻影だったことに。つまり、あの色は、僕の原点だったんですね」。そういえば彼の本名は鉄秀(=てっしゅう)。鉄の儚さと、鉄の美しさを知ってほしいと願ってつけられた名前に違いない。父の願いに近づいてきた今。彼は始めて、テーマを掲げた一連の絵に挑戦する。「タイトルは“WORK SONG”。ごちゃごちゃ言わずに働いている人のカッコ良さ、強さ、太さみたいなものを描いてみようかと・・・」。次の休日あたりからトラックの荷台にどでかいキャンバスをつんで、工場街をスケッチに行くという。本当に、彼は、いい眼になった。さて、ここからが勝負。(フリーライター 村上美香 188.j p)


プロフィール
1967年大阪生まれ、35才。本名、久原鉄秀(くはらてっしゅう)。大阪デザイナー専門学校グラフィック課卒業。20代後半よりフリーの絵描きとして活動。リラックスした空間での違和として絵を存在させる面白さに惹かれ、中津カンテグランテや、ミュゼ大阪、南堀江のヘアサロンLIMなど、ユニークなギャラリースペースにこだわって作品を発表してきた。02年、FM802のストリートアートオーディション#7入選、この4月には、ソニータワーにて入選者7名の展示会が開催された。今夏は、FM802の野外ビッグイベント『MEET THE WORLD BEAT』のメインビジュアルに起用。また、6月29日〜7月2日道頓堀倉庫2階SUMISOで開催される188セカンドプレゼンテーション『629☆SPARM』にて壁画ライブペインティング、11月21日〜12月2日中津カンテグランテギャラリーにて新作展『WORK SONG』を予定。
http://www.sea.sannet.ne.jp/tesshu/

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