10月10日ハ、メの日。
小学校の4年生のときにとつぜん、視力が落ちた。ガッコウの診断で、0.8といわれて仮性近視といわれてしょうげきをうけた両親は、ワタシの習い事をすべてストップさせていまなら治せるからといって、尾道の目医者にかよわせた。誰にもいってないが万年補欠だったバレーボールもやめたので、うれしいようなかなしいような・・・。だが、毎週土曜日、田舎モノのわたしは、船にのって「尾道にいく」という冒険を手に入れたのだ。因島からフェリーで40分。尾道の商店街のなかに「前谷眼科」はある。大人気の眼科で、いつも満員ぎしぎしだった。おかあちゃんのともだちの重谷さんという婦長さんがいたので、ときどき優遇してもらいながらも、私は、眼科で視力をはかるのがこわくてたまらなかった。「りさつくけてへこいりにみし・・・」 ワタシは視力ボードを暗記した。0・8ぐらいのところまで読んで、あれ?う~ん、と知っているのに演技をする。右、左・・・のはさすがにわからんから、まあ、子供の暗記ぐらいは看護婦さんわかっていたんだろうけど、いまでも、「りさつくけてへこい・・・?」 と首をかしげたこましゃくれた小学4年生のちびまるこちゃんのような私をおぼえている。尾道商店街には、たいこまんじゅうの屋台と、いずみやみたいなスーパー、サーティーワンの原型のような、だんだんかさねのアイスクリーム屋さん、まだめずらしかったピロシキとかうってるおしゃれなパン屋さんなどが並んでいたから、検眼表の恐怖からときはなたれた帰り道の私は尾道ワンダーランドをひとり旅したものだ。歩いても歩いても、店、店、店。楽器屋さんのショーウィンドーでは、鼓笛隊でどうしてもほしかった、バトントワリングを発見し、おこづかいをためて、輝くバトントワリングを買ったものだ。アイスクリーム屋のスタンプをためたり、いずみやの屋上のこども用遊園地で、こども用パチンコをしてキャラメルをゲットしたり、思いきって、レストランに入ってフルーツパフェを注文し、机の脇においてあるミックスナッツの自動販売機みたいなやつにお金を入れて、ナッツをこっそりたべたという大冒険もしたものだ。毎週、バレーボールの練習をしている友達よりも、かなり大人、な、尾道、目医者がよいの美香である。きょうは、目の日。そんなことやってたから、ちっとも視力はよくならず。結局、コンタクト人生。