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2006年04月16日

ミカとリカ。

リカは、19才のおわりの冬、188に電話してきた。
二度ほど私の不在をつげられ、三度目の正直か、五番の運命かどうかはわかんないけど、ミカとリカはつながった。
rica.jpg
「金沢のデザイン専門学校をもうすぐ卒業するということ」
「そこは、英語でデザインを教える学校だということ」
「金沢はすごく寒いこと」
「188に就職したいということ」
「でも、会社の名でなく、自分の名でシゴトがしたいということ」
「もうすぐ20才になること」

私はまだ、偶然は必然だということを江原さんや三輪さんのように語るつもりはない。が、縁とは“思いの深さ”だと思う。リカは私と出会いたがっていた。いや、私がリカと出会いたがっていたのかもしれない。私たちは、ある日曜日、ちょうどいいのでゴールドフィンガーズのライブ会場で待ち合わせることにした。リカは、リクルートスーツを着て、黒いパンプスを履いていた。まったく、場に似合わないいでたち。「面接なので・・・」というリカに、「誰が面接するゆうてん。遊びにおいでゆうただけやろ」と苦笑する私。私たちはライブを見て、丸福珈琲で話し、事務所で天むすとお茶を飲み、夜にちょうど余ってたチケットで芝居を見に行った。野田MAPのゲネ。

「和食をつくるのが好きなこと」
「中学校のときからTシャツに絵をかいていたこと」
「実家は、大阪にあること」

お母さんがいくつなのかだけが聞けなかったのだけど・・・笑。

私はリカと本当に出逢いたがっているのだろうか。
リカは私と本当に出逢いたがっているのだろうか。

自分の発言や行動が人の人生に大きく関係するよろこびと恐さを思い知っていたので。それで、人と出逢うのが臆病になっていた私は、ひとつひとつ確かめるように質問を繰り返した。さすがに19歳の子を最終電車までひきとめておくのは気が引けて、さんざんひっぱりまわしたあと、

別れ際にもうひとつだけ聞いた。

「あなたは泣き虫ですか?」しばらく間をおいて、リカは答えた。
「・・・泣き虫です。が、弱虫ではありません」

リカが私のひかりになってくれるような気がして、
先に私がリカのひかりになってみようかと思って、
私たちはまた会う約束をした。

リカはいつか、この日のことを忘れるかもしれない。つらくて、苦しくて、抜け出せなくて、夢がもてなくなって、ただの泣き虫になるかもしれない。だけどね、リカ。私はあなたと出逢えて、いま、本当に本当にうれしいのです。長い付き合いになるといいね。