東 學 墨画集『天妖』制作日

墨の女の息吹くまで

ある絵師と、涙もろいプロフェッショナルたちの本造りBLOG

07年5月、パルコ出版より初リリース!!

天妖作品、英文タイトルへの序奏

編集者の桑原さんに東京でタイトルについていろいろご指導いただいてから、まだまだ村上のタイトルづくりの作業は続いていくのだけれど。もうちょっと粘ってみようと思う。練って、練って、そういうものづくりを最近できてなくて、もしかしたら、70点や60点でもよしとしていた日常があるとするならば、それはやっぱりいかんやろ、と思うのだ。自分の見極めで80点か90点ならやっぱりよしとしていたかもしれないし。一か八かの一八八、100点か0点かの勝負をしなきゃあね、ひとつひとつに、毎日毎日に・・・ってことでていねいにていねいに、やっぱり愛情がうすくなっちゃ、赤ちゃんや花みたいに、かんたんにバレるというものだ。
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さて、先日、英文タイトルについてやはりプロの目を借りようと思うことにして、Sミュージアム学芸員のけいこちゃんを拉致した。拉致したのは、拉致されたことがあるからだ。ふふふ。彼女とは、以前、パリのポスター作家「レイモン・サヴィニャック」の展覧会図録のお仕事でごいっしょさせていただいた。というか拉致された。がはは。フランス語のポエムのようなものを、日本人にわかるようなニュアンスで意訳してほしい、というもの。それはそれは厳しくも楽しい作業でしたから、あの感覚が忘れられなくて。さて、英訳を誰にとおもったときに迷わず、けいこちゃんに相談しようと思ったのであります。知的な学芸員である彼女は美術分野のプロフェッショナルであり、英語、フランス語に堪能。作品タイトルのイメージのベース案を渡して、どんな風なタイトルにしたいかをあらかたイタリアンを食べながら話す。「音までこだわっていく?それとも意味の膨らませ方みたいなんに重点をおいてく?」「う~ん、音としては、日本語でこだわってみせていくつもりだから、外国の方がよんだときには意味がわかったほうがいいかな」「そうだね、じゃあ、意味のほうに重点をおいて、シンプルでちょっと粋な英語のニュアンスをさぐってみよう」「うんうん、おねがい~」。イタリアンを食べながらしばし午後の心地よいひととき。新潟出身、雪国でうまれたと、広島出身、海でうまれた私がミナミのまんなかで英語やらフランス語やらの翻訳やら意訳やら美術やら本作りやらを話しているのはなんか不思議な感じがするけど。「大きなカテゴリーでいうと、似てるよね、なんかね、私たち」といいながらイリーの珈琲をお変わりお変わり。さて、天妖の女たちには、女たちの知才をそそぎこんであげましょう。

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2007年01月27日 23:36  |  
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東 學 近影

【PROFILE】

東 學 gaku azuma

株式会社 一八八 所属
絵師・アートディレクター
1963年、京都生まれ。
父は扇絵師である東笙蒼。幼い頃から絵筆に親しむ。 アメリカのハイスクール時代に描いた『フランス人形』はニューヨークのメトロポリタン美術館に永久保存されている。 20才でグラフィックデザイナー・アートディレクターとしての頭角を現し、主に舞台やテレビ、音楽関係などのグラフィックワークを手がける。 97年、世界的に活躍する劇作家・松本雄吉にアートワークを認められ「維新派」の宣伝美術に就任。 毎日放送ハイビジョン番組『ポートレート』の映像ディレクションにて、(財)日本産業デザイン振興会主催のグッドデザイン賞・特別賞を受賞。 03年、森田恭通氏プロデュースのニューヨーク高級ジャパニーズレストラン“MEGU”にて装飾絵画(墨絵を中心にした浮世絵シリーズ)を製作。 また、06年“MEGU”の2号店(トランプタワー店)でも装飾絵図を手がけた。 04年『ジャパンアヴァンギャルド~アングラ演劇傑作ポスター100』(PARCO出版)の装丁、 05年『林静一 傑作画集 少女編 淋しかったからくちづけしたの』(PARCO出版)の装丁。 同年、画家・鉄秀とのコラボレーションによる大型作品『麒舞羅』が大阪市長賞に輝く。 アート・ディレクターとしての活躍のみならず、絵師としての活動も各界から注目されている。

※上記内容をWikipediaに投稿しました。