東 學 墨画集『天妖』制作日

墨の女の息吹くまで

ある絵師と、涙もろいプロフェッショナルたちの本造りBLOG

07年5月、パルコ出版より初リリース!!

英語タイトルの裏っかわ!

翻訳、戸田奈津子・・・という表記を私たちはどれだけの映画で目にしているだろう。翻訳、という戸田奈津子さんの作品について、私たちはどれだけ知っているだろう。これもまた非常に裏方の醍醐味であって、まるで何もしていないような翻訳、それでいて二つとない絶妙な訳を作り出している彼女の仕事を、語学にちっともつよくない私ではあるが非常に尊敬している。自分で似たような作業をやってみて、それはよけい強いリスペクトとなった。40歳になったら、翻訳家になりたいよなあ~と、漠然と思っていたりする。自分にたっぷりとイギリスなのかアメリカなのかの文化がしみこんでいる背景があるなら、翻訳、うまいやろなあ~とあらぬ想像をすることも・・・まあ、それはあらぬ想像にすぎず、今回の、天妖~の英字タイトルは、以前にもここに書いたように、非常にクレバーな思考をもつ学芸員のK子ちゃんにお願いをしている。彼女から、面白いタイトルの解説が届いたので、一部を紹介しよう。もちろん、タイトルはまだ決定のものではなく、練っていくその過程でありますが。
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【天乃蓮】 あまのはす

a lotus

*blue lotus、sacred lotus、sacred water-lily、Indian lotusとも言い換えることができます。欧米では宗教的・社会的意味を持たず、東洋を示唆する言葉となるので、そのままシンプルな使用でよいと思います。ヒンズー教では純粋なる美しさなどを示す重要なシンボルとして登場し、そのヒンズー教の象徴を借りた仏教でも、「ハス」は精神や肉体の清らかさ、純粋さを表現し、さらには極楽浄土の象徴まで発展しますが、一般的に欧米では、そうした詳細は伝わらず、すべて「東洋」という枠組みのなかで理解されます。誕生から死までの「終わりのある生、その儚さ」といった意味は、「ハス」というタイトルでは表現できませんが、作品自体が十分表現しているでしょう。エミール・ガレの晩年の名作「ひとよ茸」と同じように。
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これは、学さんの画集のなかに唯一入れることになるであろう、「蓮」の英字タイトルについての説明。シンプルにいく場合やら、ひねりのある一語をちょいと加える場合やら・・・本当に、タイトルづくりは、あんこにちょっとだけ塩を足したときのような、あの塩梅が勝負なのである。塩を入れすぎるとうへ~~~ってうっとおしいし、入れないと、あまあまじゃん、って。よし、私ももうちょいがんばります。

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2007年02月19日 23:46  |  
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東 學 近影

【PROFILE】

東 學 gaku azuma

株式会社 一八八 所属
絵師・アートディレクター
1963年、京都生まれ。
父は扇絵師である東笙蒼。幼い頃から絵筆に親しむ。 アメリカのハイスクール時代に描いた『フランス人形』はニューヨークのメトロポリタン美術館に永久保存されている。 20才でグラフィックデザイナー・アートディレクターとしての頭角を現し、主に舞台やテレビ、音楽関係などのグラフィックワークを手がける。 97年、世界的に活躍する劇作家・松本雄吉にアートワークを認められ「維新派」の宣伝美術に就任。 毎日放送ハイビジョン番組『ポートレート』の映像ディレクションにて、(財)日本産業デザイン振興会主催のグッドデザイン賞・特別賞を受賞。 03年、森田恭通氏プロデュースのニューヨーク高級ジャパニーズレストラン“MEGU”にて装飾絵画(墨絵を中心にした浮世絵シリーズ)を製作。 また、06年“MEGU”の2号店(トランプタワー店)でも装飾絵図を手がけた。 04年『ジャパンアヴァンギャルド~アングラ演劇傑作ポスター100』(PARCO出版)の装丁、 05年『林静一 傑作画集 少女編 淋しかったからくちづけしたの』(PARCO出版)の装丁。 同年、画家・鉄秀とのコラボレーションによる大型作品『麒舞羅』が大阪市長賞に輝く。 アート・ディレクターとしての活躍のみならず、絵師としての活動も各界から注目されている。

※上記内容をWikipediaに投稿しました。